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広がるスペースに容量の大きなエアコンを設置する時には注意
マンションのリフォームを手掛ける際に、L・D(リビング・ダイニング)やL・D・K(リビング・ダイニング・キッチン)を拡張したいという要望を良く頂きます。もともと二部屋だったものを二部屋の間の間仕切り壁を撤去して一つの空間にしたいとうような。
もともと、それぞれの部屋にエアコンが設置されている場合、部屋が一つになることからエアコンも一つになることになります。エアコンを1つにする際に気を付けたい点を見て行きましょう。
エアコンの設置位置を見直す

二つの部屋を1つにした場合には、エアコンの設置位置も見直す必要が出てきます。部屋が二つあった時にはそれぞれの部屋において、効率的に冷暖房ができるように設置場所が考えられていたと思いますが、部屋が一つになることで、いままでのエアコンの設置位置が適切な位置と言えなくなることが多くなります。
エアコンの設置に関しては、部屋の長手方向に風が流れるようにするのがベストであるとお伝えしたことがありますが、長手方向に風が流れることを考えると同時に、1台で部屋全体に風が行きわたるような設置位置を検討します。
そのためにエアコンの冷媒管を外に出すために外壁に穴を開ける必要が出てくるケースもあるかもしれませんが無理に穴を開ける必要もないでしょう。新しい設置位置を考慮した結果、エアコンの冷媒管の外出しのための穴とエアコンの位置が結果的に離れてしまったとしても、ドレン管の勾配が取れる範囲では新規に穴を開けずに既存の穴を再利用するのが良いと思います。室内の美観を重視するのであればエアコン冷媒管の配管化粧カバーを上手に活用しましょう。注意したいのはエアコンの設置位置を変えることでドレン管の勾配を取るためにエアコンの設置位置を高く取る必要があるかもしれません。
またエアコンは専用配線で運転するので、エアコン新しい設置位置の近くにエアコン専用配線コンセントを持っていく必要があります。ただ間仕切り壁の変更に伴う工事なので移設は問題なく対応できると思います。
冷媒管の容量を検討する
部屋が広くなるとエアコンの容量も大きくする必要があります。2台で運転していた空間を1台で運転する訳ですので当然ですね。その時に注意したいのが、冷媒管の容量です。6帖用エアコンや8帖エアコンなど今まで設置されていたエアコンの冷媒管は2分3分という管径で運転されているケースが多いです。新しく容量が大きいエアコンに交換する場合、いままでの2分3分という径の冷媒管に大容量のエアコンを結ぶとエアコンの能力が最大限発揮することが難しくなります。エアコンの容量が大きくなる時にはメーカーの推奨する冷媒管を新設するほうが望ましいでしょう。
冷媒管の2分3分とはペアコイル
の太さを表しています。
2分(6.35㎜)の銅管は室外
機から室内機に冷媒を運ぶ役目を
し,3分(9.52㎜)の管は熱
交換機で気化した液体を室内機
から室外機に運ぶ役目をします。
渡り配線の太さも再検討の必要あり
今までのエアコンはテンロク(線の径が1.6㎜)という渡り線を用いて配線してある場合が多いです。ただエアコンのパワーが上がることで2.0㎜の渡り線を用いなければいけないことになります。費用削減のため今までの渡り線を再利用したい所ですが、これはメーカーがカタログ等にしっかりと「火災の恐れあり」と明記されていますので2.0㎜径の渡り配線を設置するようにしましょう。
エアコン機器を選ぶ時に電源に関して注意する

どういうことかと言うと、容量の大きいエアコンは室内で電源を取るタイプもあれば機種により室外機側で電源を取る場合もあります。室外機を設置する所にコンセントがあれば良いのですがない場合にはせっかく購入したエアコンを無駄にしかねません。またエアコンの容量が大きくなると200Vの電源が必要になることも覚えておいて損はないでしょう。200Vの電源を確保するためには コンセントを200V用に交換すると同時に分電盤の専用配線を200V用に変更します。電気工事業者でしたら対応可能です。
まとめ
エアコンの容量が大きくなると、いままで使っていた冷媒管、渡り線などを再検討する必要が出てきます。渡り線などはそのままテンロクの線を使用していると火災の可能性があるとメーカーも指摘しています。現実には室外機のヒューズが飛んで電源が落ちるということに落ち着くようですが、電源が付かなくなると当然業者を呼び修繕をお願いすることになりますが、そこでテンロクの渡り線が使用されていることを指摘されてしまいエアコン本体の保証期間内でも修理費を請求され、かつ渡り線の再敷設をしなければならないことになりかねません。いままでより容量の大きいエアコンを設置する際には渡り線を何ミリの径のものを使用するのか確認する必要があるでしょう。